高齢者の身体的制限を考慮した浴槽の選び方
1. 高齢者の身体的変化と浴槽選びの重要性

人は加齢に伴い、身体の機能にさまざまな変化が生じます。若い頃と比べると体は硬くなり、筋力が衰え、バランス感覚も鈍くなってきます。こうした変化は普段の生活にも支障をきたしますが、入浴動作も例外ではありません。浴室が若い時と同じ環境のままでは、リスクを抱えた状態になってしまいます。
ある程度の年齢になり「バスルームをリフォームしよう」とお考えになるのであれば、加齢にともなう配慮や、10年先、20年先の将来に備えた浴槽選び・浴室づくりを考えることは、非常に重要であるといえます。
浴槽に入る方の身体機能について
・筋力の低下: 下肢の筋力は年間1~2%ずつ低下すると言われており、10年後には10%~20%も衰えてしまいます。筋力が衰えると立ち上がり動作が鈍くなり、バランス能力の低下により転倒のリスクが増加します。特に入浴時の「浴槽をまたぐ動作」は、この衰えの影響を大きく受ける動作です。
・関節可動域の制限: 膝や股関節の曲がる角度が減少するため、足を高く上げる動作が制限されます。その結果、出入りに無理な体勢を強いられやすくなります。
・視力の変化: 加齢により目の水晶体が黄色く変化(黄変)していくことで、青系の色が見えにくくなります。また、コントラストの識別も難しくなります。
・感覚の変化: 温度感覚や危険認識能力も低下します。浴室は水や湯気で視界が悪くなりやすく、床も滑りやすいため、距離感覚が掴みにくい高齢者にとっては特に注意が必要です。
浴槽の寸法設計: 身体機能に基づく適正値
「広々とした浴槽でゆったり入浴したい」というお気持ちはよく分かります。しかし、筋力や認知能力が衰えてきた方が大きな浴槽に入ると、立ち上がろうとして手をつく場所が遠かったり、入浴中に滑り落ちて溺れたりする危険性があります。
家庭での入浴は、お一人で入ることが多いものです。万が一事故が起きても、ご自身で助けを呼べなければ、ご家族さえ気づかないこともあり得ます。小さすぎる浴槽も不便ですが、大きすぎる浴槽にはリスクが伴います。安全な入浴生活を守るためには、浴槽を適度な大きさにすることが大切です。
2-1. 高齢者に適した浴槽の奥行と横幅

奥行: 浴槽の短辺の内寸が 60~70cm程(肘が浴槽の内壁に当たる程度)
横幅: 浴槽の長辺の内寸が 100~110cm程(つま先が浴槽の底に届く範囲)
2-2. 浴槽の深さと身体の関係

安全性: 浴槽の深さが60cmあると、立ち上がる際に大きな動作が必要になり、脚を上げる高さも高くなるため好ましくありません。深さを 50~55cm程度(できれば50cm)に抑えると、浴槽内で体を起こしやすく、膝を上げる高さも低くて済みます。また、溺れるリスクの低減にもつながります。
温浴効果: 50cm程度の深さがあれば、適切な浮力を得られ、胸まで浸かって温まることができるため、保温効果もしっかり保つことができます。
適正な深さ: 総合的に見て 50~55cmくらい が適正といえるでしょう。
3. またぎ高さ(洗い場から浴槽縁まで)

一般的な浴槽の場合、またぎの高さはどのくらいでしょうか。埋め込み設置型では40~50cm程度、洗い場の上に置く据え置き型では60cmを超えるのが普通です。
筋力・関節への配慮: 浴槽に入る動作には「膝を高く上げること」と「片足立ちになること」という2つの大きな特徴があります。これはバランスを取るのが難しい動作です。またぎの高さが40cmを超えると、膝を上げる位置が高くなり、転倒のリスクが増します。もし股関節に制限がある方の場合は、40cmよりも低い数値 を検討するのが望ましいでしょう。
身体状況別の目安
・座位からの立ち上がりが可能な方:35~40cm
・歩行器をお使いの方:30~35cm
・車椅子をお使いの方:車椅子の座面高さ(一般的に35~45cm)に合わせるのが目安です。
4. 浴槽形状と色彩の設計

形状の選択
垂直な壁面: 背もたれが大きく傾斜している浴槽は、筋力が弱いと滑り落ちるリスクがあり、頭が後ろに位置するため立ち上がりも難しくなります。直線的で垂直な壁面の方が、手をつきやすく安定します。
底面の設計: 足裏全体でしっかりと踏ん張れるよう、平らな底面と効果的な滑り止めが施されたものを選びましょう。
色彩設計
コントラストの確保: 浴槽を「白色・アイボリー」、洗い場を「グレー・ベージュ」にするなど、明暗差(3:1以上)をつけることで、境界線を認識しやすくします。
視認性の高い色: 手すりや浴槽の縁など、特に重要な部分は高齢者の方が認識しやすい 「赤色やオレンジ色」 にすることをお勧めします。
▼参考資料
理学療法学Supplement「高齢者における浴槽またぎ動作の動作特性」
アロン化成「浴室での高齢者の視覚に配慮 見やすい色のおはなし」
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